2012年7月26日木曜日

アートについて(入門編)

お久しぶりですね、アートマネージャーの寺澤です。
忙しさにかまけ、ハト回から更新していませんでした。
気づけば7月も終わりに差し掛かって、暑さ真っ盛り・・・
毎朝、肌色の汗と戦う日々です(ホラーですみません)

今年は色々やること多くて、ちょっとバテ気味です。
しかし、今年最大の目標!
「今までの研究成果をまとめる」という大仕事のために、仕事の合間をぬっては少しずつ準備を進めているところです。

テーマは、「新しい表現分野としてのソーシャルアートの確立と、社会との関係性についての研究(仮)」です。
長い・・・ もうすこし吟味してみます。

簡単に言ってしまうと。。

油絵や日本画から、インスタレーションにコンセプチュアルアートなど、いろんな表現方法がありますよね。
そこに一つ、新たな表現分野として「ソーシャルアート」というものを加えましょう、ということです。
それによって、表現の幅が、ぐ~っと広がります。
アートがもう一周して表現方法はこれ以上ないと思っているひとたちがいるけれど、決してそんなことはないんですよ^^
新たな可能性の追求です。

そして、もう一つ大事なこと。
このソーシャルアートという表現分野は、今の時代のために生まれた、時代に符合した表現方法です。
そのため、クリエイティブ業界の飽和問題を解消する力があります。
たくさんのアーティストがいるけれど、活躍できるのはごく一部の才能をもった人間だけ?
いえいえ。
ある程度のセンスと技術を持ったアーティストなら努力をすればそれなりに自分の力を生かすことができるようになるのです。
作家は活動の場が広がり、社会は今までよりずっと身近にアーティストの技術を享受できる。
そんな、双方にとって夢のような話が、この研究の内容です^^

私はもともと絵画一筋といった感じで美大に入ったわけではありませんでした。
しかし、根がまじめなため10万時間(必死に向き合うと、その分野において突き抜けるそうです)絵画、美術に真正面から取り組むことで、一筋の光が見えた気がしました。
いまだ美術の歴史が変遷の途にあり、まさに今が新時代へ移る過渡期にあることを知ったのです。
純粋な絵画畑に属していた私が、こうしてアーティスト独特の視点を獲得した上で研究を行うというのは、今後のアート業界にとって非常に有意義なことだと確信しています
それはなぜかといいますと。
芸術家には「アートをやる上での頭の良さ」が必要だというのが私の考えだからです。

例えば「個性的なしごとをしなさい」と美大の教授がいったとします。
すると、ほとんどの学生は何やら特徴的なイラストを描こうとします。
まだ誰もやったことのないスタイルや技法を探し出そうと躍起になるのです。

でも、はたして特徴的なイラストを描けることが、本当に「個性」なのでしょうか?

今、個性的なスタイルを追求している人を批判しているというのではなく、まず「個性」ってなんなんだろうと疑問に思う人が少ないのが問題だと思うのです。
それはスタイルに現れる人もいるし、思想に現れる人もいる。色や線に現れることもあれば、人への伝え方に現れることもある。
「個性」の現れ方はまさに千差万別なのです。
だからこそ、個性=スタイルと安直に結びつけるのではなく、もっと大きな視点や小さな視点で繰り返し個性に向かい合って欲しいと思います。
コンセプチュアルアートをやるにしても、すぐ人に説明するための内容を考えはじめるのではなく、そもそもなんでコンセプチュアルアートがあるの?
ってところに自分自身の答えを見つけるとか、それが生まれた意味などもちゃんとあることを自分自身の言葉で語れる位にならないと意味がない。
そういった研究者的な感覚や、視点の切り替えこそ、アーティストにとって大切な部分であるのに、それらを徹底的に考え抜こうとする知的体力や柔軟性を持つ生徒は驚くほど少ないのが実情です。

自分にとって必要なものがなんなのか。
アートをやる上で今やるべきことは、基礎力のアップなのか、良いモノに触れることなのか、実践によるフィードバックなのか・・・
楽で面白いことばかりに流れるのではなく、
・今の自分にとって足りないものを特定できる頭の良さ
必要であると思ったならつらい作業でもきちんと向き合える忍耐強
他人の評価や言葉に不必要に振り回されない自らのアイデンティティの確立
など、アートをやる人間は本来「感性・論理的思考・心の強さ」など、いろんな能力がバランスよく求められるものなのです。
そして、それを統合する力こそが「アートをやる上での頭の良さ」ということになります。
決して一般的にいわれる頭の回転が速いとかではありません。
必要なものをかぎ分ける嗅覚や、得た感覚を自分の中に構築する力、自由な視点や限界をつくらない心などを、アートに生かすための知性として持っておけるかということなのだと思います。

私はこのきわめて表現しづらい抽象的な感覚を、人に(特にアーティストに)わかるような形にして、たくさんの人に面白く伝えることができたらと考えています。
まずは「社会アート」の研究をまとめること!
今年は楽しい第一歩の始まりです^^

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