おはようございます。
アートマネージャーの寺澤です。
先日、お仕事の関係で地域の警察の決算報告会のようなものに、代理で出席してきました。
会場は真っ赤なじゅうたんが敷き詰められたホテルだし、なにやら貫禄のあるスーツのおじさま方しかいらっしゃらないし、なんと場違いなことか・・・と小さくなっておりましたが。
さて、今年度は予算をこんなものに使ったよ~とスライドを使って発表が始まったのですが、防犯の取り組みイベントで、「ん??」となってしまいました。
〔有名人を呼んで、一日防犯署長〕
内容は、中堅くらいの芸能人が「一日防犯署長」のたすきをかけて、街中で防犯ティッシュを配り、その後どこかの施設へ訪問して防犯にちなんだ面白いスピーチをして、一緒に防犯ビデオを見るというもの。
これは、本当に市民の防犯意識を高めるイベントなんでしょうか??
と、疑問を感じてしまいました。
よくあるイベント形式ではありますが、ティッシュをもらった人と施設でスピーチを聞いた人では、対象人数としてはせいぜい30~40人程度。
それに、防犯標語が載ったティッシュもらっても、はたして防犯意識高まるんでしょうか・・・
コストの内訳は。
・芸能人を招致
・防犯標語の募集
・防犯ポケットティッシュの制作
・イベント告知ポスターの制作
・施設でのイベント開催費
・防犯ビデオ(これは、昔からあるものを利用なのでタダ)
・メディアへのPR
・イベントの人件費
・昼食や交通費などの経費
といったところでしょうか。
細かい説明はありませんでしたが、きっとそれなりにかかっているはず。
せっかく予算組んだのなら、もっと人が興味もってくれるイベントにしたらいいのに・・・と、ちょっとがっかりしてしまいました(勝手なこと言ってスミマセン)。
もし自分で自由に企画できるなら、と考えてみました。
せっかくなので、たくさんの人を動員できる、全国巡回型の大規模展覧会が有意義かと。
社会的なメッセージを強く打ち出して話題づくりを行います。
コンセプトはとてもシンプル。
〔防犯に対する知識を持ち、意識を高め、地域の防犯ネットワークを形成すること〕
これを、イベント全体の主軸におきます。
次に、実際どのようなステップで企画を行うかというと・・・
「①インパクト」→「②知識」→「③体験」→「④共感」→「⑤実践」 です。
①インパクトその1(恐怖)
まず、「大・犯罪展 人事でない恐怖」というインパクトあるキャッチコピーが載ったポスターを制作。
不安感をあおり、人の興味をひくことで、たくさんの人に来てもらう仕掛け作りからはじめます。
人は怖いものが大好きです。
怖いもの見たさの心理を利用して、最初はお化け屋敷をのぞくぐらいの気持ちでいいのです。
さらにメディアとも連携し、インパクト重視のプレスリリースを展開。
インパクトその2~②知識(恐怖+知る)
実際の会場、第一ブースでは「過去の実際に起こってしまった事件」を中心に取り扱います。
写真、残されていた物品、現場の再現、パネルなどで、なるべく衝撃的に。(ちゃんと許可を取りましょう)
どこかひとごとだった事件、それが誰の身にも起こりうることだと実感してもらいます。
③体験(楽しい)
ここからは、体験型ブースへ移ります。
庭に砂利を敷き詰めると、実はかなりの防犯になるって知っていましたか?
そう、ジャリジャリ音がするんですね。
誰かが外にいると分かってしまうので、悪い人も砂利のあるお宅にはあまり近づきたがりません。
こういった、砂利を敷き詰めた場合と芝生の場合を比べれるような体験ブースで実際に日ごろからどんな対策をしておけばよいかをここで知ってもらいます。
ほかにも、ブザーなどの防犯グッズを試したり、護身術を体験したり、とワイワイ楽しく防犯に対する知識を持ってもらいます。
ヒーローショウのような感じで、空き巣や人さらいに対する有効な対応策を教えてくれる「パトレンジャー」(すでにそういう名前があったらスミマセン)参加型イベントや、防犯の映像作品なども披露します。
恐怖から楽しいに移り変わるので、心理的にもメリハリがついて、店頭で防犯グッズを見るよりもグッと興味を惹くことができます。
④共感(悲しい)
次のブースでは、遺族の声を紹介します。
残された人たちの悲しみ、当事者にとっては事件はずっと終わらないことを実感してもらいます。
自分と同じ悲しみを体験して欲しくない、そんな思いで講演活動をしていらっしゃる方もいます。
そんな方々に協力を仰いで、防犯意識を高めて危険を少しでも避けることを多くの方に意識してもらえる空間を作ります。
⑤実践(安心感)
さて、事件が人事でなくなり、知識を得、どんな防犯が有効かを知り、事件に遭遇された方の悲しみの声で身が引き締まった入場者のみなさんが最後に行き着くブースはこちらです。
警察の方にお墨付きをもらった優良企業様とお話や契約ができるようになっています。
先ほど紹介した砂利を敷き詰める防犯対策や、鍵やインターフォン、防犯カメラの設置など、興味のあるブースで各専門家が相談に乗ってくれ、適したプランを提示してくれます。
有効な防犯グッズを購入したり、地域ネットワークに登録できるようになっています。
(企業提携やグッズ販売での利益も、収益の一部として還元されます)
分かることとしては、防犯の意識を高めるためには、
・イベント形式として心理的にメリハリをつけて興味をひくこと(空間のデザイン)
・正しい知識を提供できる専門家がいること(有効で適正な企画)
この二本の柱が必要となります。
そして、なるべく多くの人を対象にし、押し付けではなく、人間の心理にのっとって有効なステップアップをイベントの中で経験してもらうのが大事なのではないでしょうか。
私は、アートマネジメントと専門家のタッグは最強だと思っています。
アートの「分かりやすくする・ワクワクさせる」という特性を利用すれば、遠い他人事として認識されなかった分野も一般に受け入れられ、一般と専門のお互いにとってのメリットを生み出すことが可能になります。
と、すき放題に書いてみましたが、こんな防犯イベントがあったらいいな~と思ってます^^
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