2012年5月22日火曜日

Rくん、ハトを助ける。






おはようございます!
アートマネージャーの寺澤です。

日曜日に面白いことがあったので、今日はそのことを^^

前日も夕方~深夜までミーティングがヒートアップしてましたが、週に1回の打ち合わせでは思うように進まず(汗)
日曜日も朝から集まった、こりないroofスタッフです。。

さて、気分転換に近くのコンビニへ行ったときのこと。
スタッフのRくんが店内にいる間、「いい天気だな~♪」とあたりをブラブラ散歩していたのですが・・・

???

・・・鳥が地面に突き刺さっているのを発見・・・

使われていない畑の片隅に廃棄された古いネット、それにぐるぐる絡まってしまった一羽のハトさんの哀れな姿だったのです。
バタバタと苦しそうにもがくハト。
かわいそうに、暴れるうちに足をとられ、頭を下にさかさまの格好で動けなくなってしまったようです。
あわててあたりを見渡しましたが、どうやら畑の主はいない模様。
このままではきっと、頭に血が上ってしまいます。

「こりゃ、いかん!」
と、その時Rくんがのんきに戻ってきました。
「どうした~♪」
地面に垂直にささったハトさんをゆびさす寺澤。
「あれ、助けたい。私ハサミ買ってくるよ!」
そう言い残してコンビニへと疾走しました。
畑の主さんが現れたら、いろいろと平謝りするしかないな~と考えながら、ハサミをわしづかみにしてレジへと突進。
現場へ戻ってみると、すでにRくんが畑へ侵入(スミマセン汗)して、ハトを助け起こしていました。
ハトさん、大暴れ!!
よかった、まだまだ元気そうです(ホッ)

R「こら、大人しくしろ!!」
ハ「バサバサッ」
R「大人しくしないと、もっと痛い目をみるぞ!!」
ハ「・・・・・・・」

なんだか、字ずらだけだと誘拐犯ばりのやりとりですが、Rくんがハトさん救出に奮闘しているシーンです(笑)
しかし細いネットのひもは、深く首や羽に食い込んでいて、やっぱり切るしか助け出す方法はなさそう。
私は買ってきたハサミを取り出すと、ハトを傷つけないようにチョキチョキひもをカット(スミマセン涙)させていただきました。

・・・そして数分後。
ついに捕われのハトさんは自由の身を手に入れたのでした。
・・・手に入れ・・・???


「Rくん、何してるの?」
Rくんは身をよじるハトをしっかり抱きしめて、放そうとしません。
ハトさん、身をよじって逃げようと必死です・・・
Rくんはしばらくゴソゴソとポケットを探っていましたが、ケータイを取り出してニヤリと笑いました。
「こいつもこんなに迷惑を掛けたんだから、記念撮影ぐらい付き合ってもらわないとな!」
・・・自分のブログに載せるのだそうです。
「いや、最初に助け起こしたところも撮ってあるんだ。片手で撮るのは、なかなか大変だったよ。ハッハッハ」
ちゃっかりしてます(笑)
このころになるとハトさんは諦めたのか、すっかり大人しくなってRくんの胸に収まっています。
ごめんよ~、もう少し付き合ったってね(汗)

2枚写メ撮って満足した様子のRくん。
「もういいぞ、ほら行け!!」
と、鷹揚に言い放ち空へと投げてやりました。
今度こそ本当の自由を手に入れたハトさん、慌てて飛び去っていきました。
それを見てRくんが一言。

「フム、あいつには感謝の気持ちというものが足りないようだ」

思わず笑ってしまった寺澤でした。
鳥に感謝の心を求めるのは、いささか無理があるのでは、Rくん(笑)
しかし、Rくん何だかご機嫌です。
しきりに「・・・可愛いやつめ・・・」とかブツブツつぶやいていました。

それもそのハズ、実は動物LOVE~なRくん、いつも行き過ぎた愛情表現が原因で動物から敬遠されてしまうのです。
猫には逃げられ、
犬にはうなられ、
鹿には蹴られ、
Rくんが近づくと鳥たちは逃げ惑い、一瞬のうちに姿を消してしまうという悲しい宿命を背負った青年が、このRくん。
彼に捕まってしまうのは、亀くらいのもんです(汗)

今回のことはハトさんにとってはいろんな意味で災難でしたが、Rくんは大好きな動物を胸に抱くことができて至極ご満悦の様子。
せめて大人しく撮影に付き合ってくれたハトさんは、実は十分Rくんに恩義を尽くしてくれたともいえるのではないでしょうか。

そんなわけで、めでたしめでたし。




しかし、カメラ目線なハトさんでしたね(笑)

2012年5月17日木曜日

たとえば、大・犯罪展・・・

おはようございます。
アートマネージャーの寺澤です。

先日、お仕事の関係で地域の警察の決算報告会のようなものに、代理で出席してきました。
会場は真っ赤なじゅうたんが敷き詰められたホテルだし、なにやら貫禄のあるスーツのおじさま方しかいらっしゃらないし、なんと場違いなことか・・・と小さくなっておりましたが。

さて、今年度は予算をこんなものに使ったよ~とスライドを使って発表が始まったのですが、防犯の取り組みイベントで、「ん??」となってしまいました。

〔有名人を呼んで、一日防犯署長〕
内容は、中堅くらいの芸能人が「一日防犯署長」のたすきをかけて、街中で防犯ティッシュを配り、その後どこかの施設へ訪問して防犯にちなんだ面白いスピーチをして、一緒に防犯ビデオを見るというもの。

これは、本当に市民の防犯意識を高めるイベントなんでしょうか??
と、疑問を感じてしまいました。
よくあるイベント形式ではありますが、ティッシュをもらった人と施設でスピーチを聞いた人では、対象人数としてはせいぜい30~40人程度。
それに、防犯標語が載ったティッシュもらっても、はたして防犯意識高まるんでしょうか・・・

コストの内訳は。

・芸能人を招致
・防犯標語の募集
・防犯ポケットティッシュの制作
・イベント告知ポスターの制作
・施設でのイベント開催費
・防犯ビデオ(これは、昔からあるものを利用なのでタダ)
・メディアへのPR
・イベントの人件費
・昼食や交通費などの経費

といったところでしょうか。

細かい説明はありませんでしたが、きっとそれなりにかかっているはず。
せっかく予算組んだのなら、もっと人が興味もってくれるイベントにしたらいいのに・・・と、ちょっとがっかりしてしまいました(勝手なこと言ってスミマセン)。

もし自分で自由に企画できるなら、と考えてみました。

せっかくなので、たくさんの人を動員できる、全国巡回型の大規模展覧会が有意義かと。
社会的なメッセージを強く打ち出して話題づくりを行います。
コンセプトはとてもシンプル。
〔防犯に対する知識を持ち、意識を高め、地域の防犯ネットワークを形成すること〕
これを、イベント全体の主軸におきます。

次に、実際どのようなステップで企画を行うかというと・・・
「①インパクト」→「②知識」→「③体験」→「④共感」→「⑤実践」 です。


①インパクトその1(恐怖)
まず、「大・犯罪展 人事でない恐怖」というインパクトあるキャッチコピーが載ったポスターを制作。
不安感をあおり、人の興味をひくことで、たくさんの人に来てもらう仕掛け作りからはじめます。
人は怖いものが大好きです。
怖いもの見たさの心理を利用して、最初はお化け屋敷をのぞくぐらいの気持ちでいいのです。
さらにメディアとも連携し、インパクト重視のプレスリリースを展開。

インパクトその2~②知識(恐怖+知る)
実際の会場、第一ブースでは「過去の実際に起こってしまった事件」を中心に取り扱います。
写真、残されていた物品、現場の再現、パネルなどで、なるべく衝撃的に。(ちゃんと許可を取りましょう)
どこかひとごとだった事件、それが誰の身にも起こりうることだと実感してもらいます。

③体験(楽しい)
ここからは、体験型ブースへ移ります。
庭に砂利を敷き詰めると、実はかなりの防犯になるって知っていましたか?
そう、ジャリジャリ音がするんですね。
誰かが外にいると分かってしまうので、悪い人も砂利のあるお宅にはあまり近づきたがりません。
こういった、砂利を敷き詰めた場合と芝生の場合を比べれるような体験ブースで実際に日ごろからどんな対策をしておけばよいかをここで知ってもらいます。
ほかにも、ブザーなどの防犯グッズを試したり、護身術を体験したり、とワイワイ楽しく防犯に対する知識を持ってもらいます。
ヒーローショウのような感じで、空き巣や人さらいに対する有効な対応策を教えてくれる「パトレンジャー」(すでにそういう名前があったらスミマセン)参加型イベントや、防犯の映像作品なども披露します。
恐怖から楽しいに移り変わるので、心理的にもメリハリがついて、店頭で防犯グッズを見るよりもグッと興味を惹くことができます。

④共感(悲しい)
次のブースでは、遺族の声を紹介します。
残された人たちの悲しみ、当事者にとっては事件はずっと終わらないことを実感してもらいます。
自分と同じ悲しみを体験して欲しくない、そんな思いで講演活動をしていらっしゃる方もいます。
そんな方々に協力を仰いで、防犯意識を高めて危険を少しでも避けることを多くの方に意識してもらえる空間を作ります。

⑤実践(安心感)
さて、事件が人事でなくなり、知識を得、どんな防犯が有効かを知り、事件に遭遇された方の悲しみの声で身が引き締まった入場者のみなさんが最後に行き着くブースはこちらです。
警察の方にお墨付きをもらった優良企業様とお話や契約ができるようになっています。
先ほど紹介した砂利を敷き詰める防犯対策や、鍵やインターフォン、防犯カメラの設置など、興味のあるブースで各専門家が相談に乗ってくれ、適したプランを提示してくれます。
有効な防犯グッズを購入したり、地域ネットワークに登録できるようになっています。
(企業提携やグッズ販売での利益も、収益の一部として還元されます)

分かることとしては、防犯の意識を高めるためには、
・イベント形式として心理的にメリハリをつけて興味をひくこと(空間のデザイン)
・正しい知識を提供できる専門家がいること(有効で適正な企画)
この二本の柱が必要となります。
そして、なるべく多くの人を対象にし、押し付けではなく、人間の心理にのっとって有効なステップアップをイベントの中で経験してもらうのが大事なのではないでしょうか。

私は、アートマネジメントと専門家のタッグは最強だと思っています。
アートの「分かりやすくする・ワクワクさせる」という特性を利用すれば、遠い他人事として認識されなかった分野も一般に受け入れられ、一般と専門のお互いにとってのメリットを生み出すことが可能になります。

と、すき放題に書いてみましたが、こんな防犯イベントがあったらいいな~と思ってます^^

2012年5月10日木曜日

アートマネジメントって、なんだろう?

おはようございます!アートマネージャーの寺澤です。
朝から大爆笑してしまった・・・
東北大学助教授と生徒がくりひろげる、レポート期限あらそいの一部始終です。
どうぞ!

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5/15


理学部物理学教室 浅川

「科学哲学第二」のレポートは、5/31 までに1号館1階の浅川の レターボックスに提出すること。
このレポートを提出しない学生には、単位は出ません。

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6/3


理学部物理学教室 浅川

期限を過ぎて提出されたレポートは、いかなる理由があろうとも 受けつけません。
締切を過ぎてもまだ私のレターボックスに「科 学哲学第二」のレポートを入れる者が居ますが、5/31 の午後 5:00 以降に投函されたレポートは全て破棄しました。

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6/4


理学部物理学教室 浅川

「5/31 まで」と書いたら「5/31 の午後 5:00 まで」の意味です。
こんなことは社会常識です。

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6/5


理学部物理学教室 浅川

他の教官が午後 12:00 まで受けつけていても、関係ありません。
反例を幾つ挙げようと、定量的に述べなければ意味がありません。

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6/8


理学部物理学教室 浅川

なぜその熱意を使い、もっと早くにレポートを作成しないのか理 解に苦しみますが、とりあえず午後 12:00 まで受けつける教官が 過半数であることは理解しました。
よって、6/15 の午後 12:00 まで「科学哲学第二」のレポート提出期限を延長します。

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6/10


理学部物理学教室 浅川

「6/15 午後 12:00 まで」ではなく「6/16 に浅川がレターボック スを開けるまで」ではないか、との意見がありましたが、これら は全く違います。必ず 6/15 中に提出するように。


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6/12


理学部物理学教室 浅川

私のレターボックスに猫の死骸を入れたのは誰ですか。

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6/13


理学部物理学教室 浅川

「私がレターボックスを開けた瞬間に波動関数が収束し、内部状 態が定まるので、レターボックスを開けるまではレポートが提出 されたかどうか分からない」と主張したいことは分かりました。

今回は、提出場所を1号館302の浅川研究室前のレポート提出 用ボックスにします。
この箱は、6/15 午後 12:00 にシュレッダー へと自動的に切り換わるので、シュレーディンガーの猫の問題は発生しません。

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6/16


理学部物理学教室 浅川

いいかげんにしなさい。午後 12:00 は「グリニッジ標準時」では なく「日本標準時」です。
これは常識以前の問題です。

普段は日本時間で生活しているくせに、レポート提出時だけグリ ニッジ時間を求めるなど言語道断です。


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6/18


理学部物理学教室 浅川

信じ難いことですが、「科学哲学第二」を受講する学生の過半数 がグリニッジ標準時で生活していることが分かりました。

夜型にも程があるとは思いますが、とりあえずレポートの提出は6/30 の午後 12:00 GMT まで待ちます。

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6/22


理学部物理学教室 浅川

時間の連続性についての疑義は受けつけません。どうやらベルグソン の時間論を曲解している者がいるようですが、主観的時間がどうあれ、 7/1 の後に 6/30 が来ることはありません。


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「それで、確かに君は 6/30 中にレポートを提出したというんだね?」


浅川助教授は皮肉っぽい口調で生徒に尋ねた。


「ええ、ギリギリでした」


まだ若い学生が無邪気に答える。


「だが、君のレポートは私の手元には無い。君は時間を間違えたのではないかな?」


「いいえ、日に 0.1 秒も狂わない、正確な電波時計を使っていますから。


先生のレポートボックスこそ、時刻を間違えたんじゃないですか?」


「冗談だろう。GPS 補正で ±5 ミリ秒の精度で合わせてある」


「それで、24:00 GMT ちょうどにシュレッダーに切り換わるわけですね?」


「そうだ」


「うーーん。あ、そうだ。多分うるう秒の差ですね」


「うるう秒?」


「ええ。グリニッジ標準時、正確には協定世界時と言いますが、


これは太陽の公転周期から計算する平均太陽時と違い、原子時計によって


計られることになっています。この協定世界時と実際の天文時刻との


差を縮めるため、12/31 や 6/30 などの午後 24:00:00 に、閏年の2月29日


と同様の 1 秒を挿入することがあるんです。いやあ、このうるう秒の


間に僕はレポートを提出して、先生のシュレッダーが動作したんですね。


困っちゃうなあ。学生のレポートはもっと大切に扱ってくださいよ」


学生は目をキラキラさせながら答える。


科学哲学第二のレポートは、まだ集まりそうにない。




東北大学助教授のレポート期限に関するコメントが面白すぎる





・・・すごいですね、これ。
自分たちの知識をフルに使ってレポート期限を延ばそうと画策する生徒たちに、必死に応戦する助教授。
なまじ、自分が教えている分野をついてくるので、「常識」の一言で切り捨てることもできず、レポート期限はずるずると引き延ばされていきます。

本当にこんなやり取りがあったのか、フィクションなのかはよくわかりませんが、こんな先生の授業なら、ぜひ!受けてみたいと思いますよね。

この記事が素晴らしい理由は、私のような科学や物理にうとい人間でも、なんとなく物理って面白そ~と思わせてしまうところです。

波動関数シュレーディンガーの猫、グリニッジ標準時・・・ などなど、専門分野を勉強しないとよく分からないような言葉が出てくるのですが、「レポート期限を延期させる」という目的の元、生徒たちが物理の理論を駆使して先生をやりこめる、というストーリーが面白いので、抵抗なく読んでいってしまいます。
猫の死骸のくだりも、後のシュレーディンガーの猫に続くあたり秀逸ですよね。
(猫好きの寺澤としては、フィクションであると願います)

私も「シュレーディンガーの猫」くらいなら聞いたことがある・・くらいの一般人ですが、「グリニッジ時間」や「波動関数」ってどんなものなんだろうと、ついウィキペディアで調べてしまいました。

そう、物理って本当は面白いものなんですよね。
私は理数系が大の苦手で、高校時代はテストに散々苦労したクチです。
でも、美大に物理の好きな恩師がいたり、個人の趣味としてそういう本を読んだりするうちに、自分の中で数学や物理って面白いものなんだな~と評価が変わっていきました。

そうやって、かつて苦手と意識したものを改めて面白いと評価するのって、なかなか難しいものです。
「物理って難しい」を「物理って面白い」に変えるためには、なにが必要なんでしょうか?
私は、「興味をもつこと」だと思います。

今回の生徒と助教授のやり取りの中で、私はワクワクして専門用語を調べたりしました。
つまり、レポートが関数でどうやって出たり消えたりするんだろう、日本標準時間とグリニッジ時間ってどれくらいちがうの?と「興味」を持ったわけです。
人間なんて勝手なもので、たいていの好き嫌いは自分にとって興味を引くものであるかどうかできまってしまいます。
だから、一度興味を惹かれてしまえば、それは「難しい→面白い」に簡単に変化します。
良い印象を持ってさえいれば、その分野の本や話題がなんとなく目に留まりはじめますよね。
そうやって、人間は自分の好みの中で面白いものから面白いものへと、はしごをかけながら知識を増やし、学んでいくのだと思います。

私が「アートマネジメント」に注目するのは、実はその「興味を惹く」きっかけになると思うから。
一度にがての烙印を押されたら、そう簡単には人間の好き嫌いはひっくり返せません。
でも今回のように、ストーリーをつけて難しいものを面白くしたり、マンガで歴史を解説したり・・・
一般的に難しいとされている専門分野も、視覚や感覚的に面白くすることで簡単にとっつきやすくなるのです。
つまり、アートによって価値を見えるものに変換することができるのではないかと思ったのです。
アートはどのようにも使えます。
それは創造性と柔軟性からくるものです。
私が考えるソーシャルアートとは、「モノの価値を可視化するための変換装置」の役割を担うものです。
物理のように、一見その面白さが「苦手、難しい」といったブラインドで覆われているものも、今回のようにシャレの聞いたストーリーがつくことで「面白さ」が目に見えるものに変化する、こういった目的のためにアートを活用できるのではないか、と考えるわけです。

一般に「アートマネジメント」といわれるものは、アートという曖昧なものを、社会の中で生産的価値を生み出すものにマネジメントするという目的で行われます。
つまり、対象はアートです。
でも、私がたどり着いたアートマネジメントは視点が違っていて、
「アートマネジメント」するのではなく、「アートマネジメント」する、対象はもっと広い、社会そのものです。
社会の海で陸の孤島と化した専門分野、毎年良い企画を行っているのに人が来ない博物館、美味しいコーヒーを出しているけど宣伝するすべを持たずに客が来ない喫茶店・・・
ちょっと興味を持ってもらえさえすれば素晴らしいパフォーマンスを発揮する人・モノ・分野はたくさん存在します。
一見見えにくい価値あるものを、一般の人たちの目に見えやすいよう作り変えてあげる。
この変換装置の役割を果たすことができるのが「ソーシャルアート」なのではないかと思うのです。
アートという曖昧さ、どんなものにも対応できる創造性と柔軟性に、私は社会の架け橋としての可能性を見ています。